はじめに
「新卒だから、まずはどこでもいいから歯科医院に就職しなきゃ」
そう思っていませんか?
でも実は、その“どこでもいい”という職場選びが、5年後・10年後のあなたのキャリアに大きな影響を与えてしまうのです。
歯科衛生士の仕事は、どこで働いても似ている──そんな風に思うかもしれません。
しかし、最初に選ぶ歯科医院によって、学べるスキル・人間関係・働き方の選択肢は、まったく変わってきます。
この記事では、歯科医師として多くの歯科衛生士と働いてきた僕の視点から、「新卒歯科衛生士が職場選びで重視すべきポイント」について本音でお話しします。
第1章:なぜ“自費率が高い”歯科医院がいいのか?
多くの人が「保険診療中心の歯科医院=安定」と思いがちですが、実は“自費率が高い”歯科医院ほど教育が整っている傾向があります。
- 自費診療では、患者さん一人あたりの時間が長く、対応も丁寧
- 質の高い予防ケアやカウンセリングスキルが求められる
- 経営的にも余裕があるため、新人教育にコストをかけられる
つまり、自費中心の歯科医院では、“歯科衛生士が成長するための時間と環境”が揃っているのです。
第2章:“マニュアル型”の歯科医院が新卒歯科衛生士に向いている理由
「マニュアルがあると自由にできない」
そう考える人もいるかもしれません。
でも実は、新卒のうちは“自由”より“型”がある方がずっと安心です。
- 教育が属人的でないため、誰でも同じレベルで学べる
- 「やり方が分からない」ことへのストレスが少ない
- 一貫した方針があるため、ミスが起きにくい
特に大手法人の歯科医院では、マニュアル+研修制度+フィードバックの仕組みが整っており、まさに「成長できる土壌」が用意されています。
第3章:避けたい歯科衛生士の職場の特徴
逆に、避けた方がいい歯科医院の特徴も知っておきましょう。
- 指導者がいない、または多忙すぎて教えてもらえない
- 「見て覚えて」「気づいて行動して」と言われる文化
- 教育体制がなく、質問できる雰囲気もない
- 自費診療が少なく、歯科衛生士としてのスキルアップの機会が限られている
こうした職場に入ってしまうと、「自分は向いてないかも…」と感じてしまい、早期離職のリスクが高まります。
第4章:歯科衛生士の職場選びで見るべきチェックポイント
では、どうやって“良い職場”を選べばいいのでしょうか?
以下の点をチェックしてみてください:
- 自費率が明記されているか(40%以上なら教育体制が整っている可能性が高い)
- 新人歯科衛生士向けの教育プログラムが紹介されているか(OJTだけでなく、マニュアルや講習の有無)
- 歯科衛生士の定着率が高いか(離職率が低い=働きやすい職場)
- 面接時に見学ができるか(雰囲気や人間関係を事前に確認できる)
おわりに
新卒の時期は不安も多く、「とりあえず就職しなきゃ」と焦ってしまいがちです。
でも、最初の職場選びは、歯科衛生士としてのキャリアの“土台”を作る大切な選択です。
- 自費率が高い歯科医院=学べることが多く、経営も安定
- マニュアル型法人=失敗しにくく、継続的に学べる
この2つのポイントを意識して、自分に合った働き方と環境を選んでみてください。
そして何より、あなた自身の未来に対して、“賢い投資”をしてあげてほしいのです。
次回は、「実際に自費率が高く、教育が手厚い歯科医院の見分け方」について紹介していきます。
著者 白瀬(歯科医師)
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